ワムシや飼育器具を準備し、飼育に備えたのに数日で全滅してしまう。これはかなりの脱力感を味わいます。 育ってくれなければ、微力ながら自然保護に貢献できればという目的も達することができません。
2ndシーズンでは、当初「楽をする」ことをテーマに飼育を始めましたが失敗が続き、1stシーズン と様子が違いました。そこで、何が違って何が原因かを探っていくうちに、おぼろげながらポイントが見えてきて、 仔魚の生存数も上がってきました。ここでは私なりの考えとともに、そのポイントを紹介していきます。
孵化後3日目のミニクマ達
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file size 1.40MB 23secなお、1stシーズンでは孵化直後から「稚魚」と記していましたが、孵化直後から各ヒレが成魚のように はっきりとしていない時期は「仔魚」と呼ぶそうで、カクレクマノミの 場合だと、体色がオレンジっぽくなってきてラインが出現したころから「稚魚」となるようです。以降 使い分けていこうと思います。
■水
捕獲器「里ごごろ」
水質に問題が無い場合、1日目の死亡魚が多いのは捕獲に問題があると思われます。 当初1Lのペットボトルを切ったものを使っていましたが、捕獲容器が小さい場合 かなり慎重にならないと容器内部で激しい水流ができてしまい、仔魚にダメージを 与えてしまうようです。
そこで適当な容器は無いものかと家庭内を探した結果、 味噌の空容器を発見し利用してみました。これはなかなか良い具合です。 容器の底には指で塞げるくらいの穴をあけてあります。これは仔魚を掬い上げる 際に、掬った仔魚がこぼれ出るのを防ぐように水を排出するためです。 通常指で塞いで掬いますが、水量が多すぎた場合など適当に排水してから掬い上げると 仔魚をこぼすことなく掬うことができました。しかし、慣れてくるとこの穴を 使うことなく掬うことができるようになりますので必要はないかもしれません。
掬い方のコツですが、まず狙って捕獲する場合は、仔魚が泳いでいる水域3cm立方の 水を容器の角で「くり抜く」という感じで、容器を仔魚中心にくるっと回す感じで掬うとダメージ無く掬えます。 沢山の仔魚が浮いてきているような場合や、壁際の場合は容器の面を使い容器を沈め ゆっくりと吸い込むような感じでやると良いです。容器が大きければ、容器の中で極端な水流は できないので、ダメージを与えることなく掬えます。
一方、飼育ケースに移すときにザーっとやると、やはりダメージを与えますので、容器内の水面と 飼育ケースの水面を合わせて、仔魚中心に容器をクルっと逆さまに回転させるようなイメージで移せば うまくいきます。
もう一つはライトです。効率よく掬うためにクリップ式のライトを使います。 今流行のLEDなら発熱の影響も無く良いと思います。ハッチアウトを確認したら、 水槽の一部分を常時照らします。仔魚は走光性があるとはいえ、瞬時に 光に集まってくるわけでありません。同じ場所を照らし続けることで捕獲中に 徐々に集まりほとんどの仔魚を捕獲することができます。
自作のLEDクリップライト
懐中電灯の場合、片手に持ってその都度水槽を照らしても、仔魚はなかなか集まってこないので、 そのうちしびれが切れてきて捕獲が乱暴になってしまいます。捕獲する仔魚の数ですが、餌・水・掃除の管理さえできれば沢山捕獲しても 大丈夫なようです。今回私は4〜5Lの飼育容器に200匹以上捕獲していました。 とはいえ、飼育容器が小さすぎるとリスクが大きくなりますので注意してください。
■餌飼育水は新鮮な人工海水が良いと思われます。理由はバクテリア類が少ない (=水ができていない)からです。通常水槽を立ち上げる場合、バクテリア類の繁殖を意識 するわけですが、これは魚の排泄物やその他窒素化合物等を分解してもらうためであり、その過程で 段階的にアンモニア、亜硝酸、硝酸塩が発生していきます。
海水ストック用衣装ケース
仔魚の飼育水槽では、糞も出ますが初期段階で出る死魚が問題です。 小さな飼育ケースでは、この死んでしまった死魚が速やかに腐敗してアンモニアが 発生しては困るのです。水ができたといわれる水槽の水を使うと、この初期段階の分解が速やかに 行われて、アンモニア発生→仔魚死亡→アンモニア発生と悪循環ができ、大量死が起こるのではと 思います。
毎日朝晩、底に溜まった糞や死魚の掃除と、新鮮な人工海水(=種々のバクテリアの少ない水) で換水することにより、水質悪化のリスクを低く押さえられると思います。 また、比較的魚に無害といわれている硝酸塩ですが仔魚の成長に影響を与えている気がします。 これは、実際に硝酸塩が15〜30ppmで推移している水槽の水の中で飼育していた 仔魚の成長が遅かったからです。他の影響(アンモニア、亜硝酸の発生や栄養の問題)も 考えられますので断定はできませんが、清浄な水で飼育するに越したことはないでしょう。
仔魚に与えるワムシやブラインシュリンプは、海産クロレラで栄養強化するわけですが、 ワムシの栄養強化時間は十分にとったほうが良いと思います。通常24時間以上と言われて いますが、高度不飽和脂肪酸を特に必要とする仔魚には、48時間の栄養強化をしたほうが良い結果が 出ることがあるらしく、これを実行することで仔魚の生存率が上がりました。 淡水産クロレラで増殖したワムシを、栄養強化の容器に足していくのはお勧めしません。 時間管理があやふやになり、栄養強化が十分できていないワムシが混ざって死亡率が上がる恐れがあるからです。 栄養強化の容器は2本用意して、ワムシの水換えを基準に時間管理をきちんとすると良いと思います。■掃除
ワムシの計測方法ですが、1ccが計測できる小さなスポイドで培養水や飼育水を採り、 1ccで大よそ何滴かを把握し、空のCDケースなどに滴下して、その1滴1滴をライトで 照らしながらルーペで見ると良いです。私の場合1ccで約20滴でしたので、培養水は 1滴平均あたりワムシが20〜30匹以上だと間引きし、仔魚飼育水の場合1滴平均1匹〜0.5匹 を基準としてワムシの管理をしました。
培養水のワムシ
仔魚が成長してきて概ね5〜6日目にはブラインシュリンプを摂食するようになりますが、 このブラインシュリンプの栄養強化についても、じっくりと時間を掛けることで良い結果が 出るようです。ブラインシュリンプは孵化後12時間は摂餌しないという話もあり、 その後の摂餌量も少なく、培養液もワムシのように半日で透明になるということがありません。 孵化後は最低24時間以上栄養強化にあて、その後も海産クロレラを足しながら使用していくと 良いと思います。ブラインシュリンプは孵化に1日、栄養強化に1日と最低2日は使えませんので、 こちらも容器を2本用意して、計画的にローテーションしていくと良いと思います。
飼育ケースの底には意外なほど早く糞が溜まります。糞はワムシを3〜5個ギュっと固めたような 半消化状態で、肉眼では半透明の白い点々に見えます。当然仔魚の数が多ければ多いほど溜まる量も増えるわけで、 バクテリア類が少ない新鮮な人工海水を使っているとはいえ毎日全換水しているわけではなく、 糞などがあるとバクテリアも繁殖し分解されて水を汚します。
掃除用ABSパイプ
できれば日に数回掃除したいところ ですが、仕事があるとそうもいきませんので、朝と夜に必ず底の水を糞とともに吸い出す掃除をします。 掃除をすると飼育水も減るわけですが、朝忙しい場合は掃除だけして、帰ってきてから夜に大量換水 する事でなんとかなります。そのため飼育ケースには夜若干多めの海水を入れておきます。もちろん最初の1週間は 朝晩の掃除水換えができれば言うことはありません。
■終わりに
以上の紹介した内容を実行していく事により、生後1週間の生存率が上がってきました。 1stシーズンでは2〜3%だったのに対して、紹介した項目を1つずつ追加実行していくと、 2ndシーズンは5%→11%→35%という具合です。親カクレに与える餌は、 2ndシーズン孵化3回目くらいから、通常飼育よりも多めに人工餌を与えていただけで回数は1日1回でした。 親魚にあまりに餌を与えすぎると、肥満して性成熟を阻害するそうなので注意が必要です。